油断大敵って言葉があるけれども、年始早々にそういう出来事が起こった。思うんだけれど人間という生き物は、その他の生き物と違ってあまり学習しない(もしくは出来ない)生物なのではないかと、その出来事を通じて_文字通り身を持って_感じた。人間以外のその他の生き物はおそらく、生存本能が働いているからその辺の事はばっちり機能していると思う。アフリカの草原で草を食んでいるシマウマやガゼルにしたって、ライオンに襲われそうになったらそれ以降は同じ場所で食事はとらないはずだ。もし彼らに防衛本能という学習機能が上手く働かなかったら、アフリカの草食動物はとっくの昔に絶滅していると思う(それに自然界でいうところの食物連鎖みたいなものがまったく成り立たなくなってしまう)。とにかく、人間という生き物は_アフリカの動物たちに比べて_学習能力がないというお話しです。
今年のお正月は、珍しく三が日を何処にも行かずに家で過ごした(僕にしてはという意味だけれど)。毎年、元日は義理の両親の家に新年の挨拶をしてその翌日は自分の両親の家、翌々日は親戚関係という順番で廻っているのだけれども、今年は連れとも話し合って何処にも行かずに家でゆっくり過ごそうということになった。そういう考えに至ったのにはいくつか理由があるのだけれど、プライヴェートな話しなので今回は割愛しておきます(前回のブログでは少し書いたけれど、暮れに僕が年賀状をまったく書く気が起こらなかった事と関係しています。要するに、僕(ら)にとっては_あるいは僕(ら)自身の関係性も含めて_リセッションに向かう前の小休止をとろうよというのが本当のところです)。でもそのおかげで今年のお正月は、誰にも余計な気を使わずにレンタル屋でDVDを借りて映画を観ながらリラックスして過ごすことができた。
いくつか借りてきたDVDの中でもとくに面白かったのは、トム・クルーズが主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』というSF映画で、監督は『Mr.&Mrs. スミス』や『ボーン・アイデンティティー』シリーズを手がけたダグ・リーマン。この映画は日本のライトノベルを原作にしていることでも注目を浴びた作品で日本の独特の死生観である「輪廻転生」をモティーフに、主人公が侵略してくるエイリアンを相手に何度も死んでは生き返りという「ループ世界」を描いた異色の内容で正直、DVDを借りてくる時にそれほど期待していなかったのだけれども思いの外、愉しく観ることが出来ました。何と言っても、トム・クルーズのあの屈託のないスマイルがいい。決して貶しているわけではないんだけれど、シリアスな場面の途中であの白い歯を光らせながら、急に差し込んでくる彼のスマイルを観ていて心がすっかり和んでしまった。
映画を見終えたその夜、歯磨きをしている最中に意識したわけではないのだけれど、何となく鏡の前に立ちニッコリと笑ってみた。我ながら馬鹿らしいと思いながらも、「トム・スマイル」を思い出しながら全力で笑顔を作ってみた。もちろん、何も変わらない。鏡の目の前にはいつもと変わらない変哲もない僕の間抜けな笑顔が映っていた。数秒の間だったけれどしばらくその自前の笑顔を眺めていた。でもそのうちに何だか本当に馬鹿らしくなって歯磨きに戻ることにした_ まさにその時だった、僕の耳元で小さな囁き声が聞こえた。「もう一度、笑顔を作ってみて」と。僕は歯ブラシを置いて、鏡の前に向かってもう一度だけ全力で笑顔を作ってみた。さっきと変わらない、僕の間抜けな笑顔が映っていた。でも何だか変だ、僕は恐る恐る人差し指を口の端に引っかけて横に思いっきり伸ばしてみた。虫歯だ、奥歯に見事な虫歯を発見した_
震えるもう片方の人差し指で、今度は反対側の口の端を引っかけて、さっきと同じように思いっきり伸ばしてみた。「フォーマイファ!(オーマイゴット!)」_ 生粋の日本人なのにさっきまで「トム・スマイル」を作っていたものだから、思わず英語で叫んでしまった。虫歯が、反対側の奥歯にも見つかった。最初に断っておくけれど、僕はこれでも自分の歯には結構自信を持っていた。子どもの頃から、数ヶ月毎に歯科医院に通って定期検診を受けてきて、虫歯にならないように注意深く気を配ってきたのだ。かかりつけの先生から歯並びのことを褒められ、ある日「貴方はもう歯に関しては問題がないから、次回からは自分でチェックをすればここに来なくても良いわよ。」とお墨付きまでもらったのだ。そんな「殿堂入り(?)の歯」の持ち主のこの僕が虫歯が出来るなんて、それも気持ちがいいくらい見事な虫歯が両方の奥歯に出来るなんて!
その後の僕の行動は、いま振り返っても「自分でもどうかしている」と思うような狼狽ぶりだった(あろうことか両奥歯の側面に蝕む虫歯を自分で削り取ろうとしたのだ。そんなことをしてもまったく意味がないのは解っているのに。でもその時の僕は受け入れ難い衝撃の事実に酷くショックを受けている状態だった)。それで結局、どうしたのかというと、行きましたよ歯科医院に_ でも虫歯を発見したその夜はまるで不治の病に冒されたテレビドラマの主人公みたいに、連れには黙って何事もなかったように眠りにつきました(もちろん、心配でろくに睡眠もとれなかったけれど)。翌日、早速、歯科医院に予約を入れました。放っておいたって良くならないのは解っていたし、それに僕はもう立派な大人なんだから(本当だろうか?)。連れにも本当のことを言いました(ご想像の通り、慰みの優しい言葉なんてかけてもらえなかった)。
昔、子どもの頃に通っていた歯科医院に行くのは20年以上ぶり_後で調べて判ったのだけれど、僕が通っていたのはかなり幼少期だった(人間の記憶って曖昧なものですね)。歯医院が管理しているパソコンの顧客ソフトには僕の名前は載っていなかったから、老先生(奇跡的にも僕のことを覚えていた!)に当時の様子を話したら、古い紙台帳を引っ張り出して僕のカルテを見つけてくれた_で歯科医院も当時の場所から少し移転していた。老先生から、「それで今回はどうしたのかしら?」と訊かれたので早速、先日自分の身に起こった出来事と昔話をしたら、「それは貴方、言葉のあやというものよ。殿堂入りの歯なんてこの世には存在しないわよ。定期検診は少なくとも年に1回はしないと。20年以上も経っているんだもの、すっかり担保は使い果たしたわよそれは貴方。」と苦笑いされてしまった。はい、それはもうごもっともな意見です。
最終的に僕の治療は2回で済んだ。幸い虫歯は僕が発見した両奥歯だけで何カ所か歯石を除去してもらって今回はお終い。ついでに老先生から、「正しい歯磨きの仕方」を何時間にも渡って教わった。こう言ってはなんだけれど、僕がこれまで知っていたどんな歯磨きの仕方よりシンプルでとても説得力のある磨き方で、最初は「ええっ、これで良いんですか?」って何度も訊き返してしまった。それに歯ブラシの選び方も実際はごく単純な考え方で、治療を終えた後に歯科医院で何本か購入してしまったくらいだ(歯磨き粉にいたっては、「付けたければどうぞ。」ってくらいの『存在』なんだという事実も添えておきます)。結論_ 「芸能人は歯が命。」って言葉(懐かしいですね)が昔に流行ったけれど今回、僕の場合はたまたま映画を観て「トム・スマイル」を試したことから虫歯を発見したけれど。歯の定期検診は忘れずに行きましょう。
油断大敵は解ったけれど、
この話のどこか『冒険』なのかって?
この話のどこか『冒険』なのかって?
僕の尊敬する冒険家:植村直己さんは
『冒険』の定義をこう記しています。
『冒険』の定義をこう記しています。
冒険とは、「自らが主体的」であること。
もう1つは「リスクを伴う」ことであると_
2015年、今年はたくさんの『冒険』をしていきます。
皆さんにとっても『冒険』の多い年でありますように!
